もう 夜だけど。
時々、不意に 走り出そうとする姿のマメが見える。
時々、不意に 長々と後ろ足を伸ばして、
柔らかな 真っ白い手は 前方に伸ばして
安穏と横たわるマメの姿が 見える。
息子が
ケーブルでよく観ていた「トムとジェリー」を見られなくなった と
今朝 言った。
トムの、あの 濃い灰色の姿は マメと そりゃあよく似ていて
二人してテレビを観ながら「眉毛は全然濃くないけど
それ以外は ホンットに マメって トムと似てるよね」と
話していたものだったから。
マメは、トムから「すぐバレるズルさを取り除いた」お間抜けさが
そのまんま のように思われた から。
で、「うーーん、そうか....
私は チャタ(マメと一緒に拾って来た 元♀ネコ)が
『撫でてくれろ』と傍に寄って座り込み、仕方ないから撫でる そのとき
マメを 否応無しに思い出しちゃう.....」と 答えた。
「......そっか.......それはまた 辛いのう......」と 息子。
マメが 逝ったのは 仕方ないのだ。
命があれば それは いつか 消えるんだもの。
だけど
だけど...........
「二度と会えない」
「二度と 彼のシルクのような手触りを感じる事はできない」
その事実
不意に見る彼の幻ゆえに それを否応無しに突きつけられる時
それが 胸を掻きむしるほど 切ない。
地団駄踏みたいほど 悲しい。
だから
それが苦しくて やり切れなくなるとき
信じてもいない神様に すがってしまう。
「私が ここから離れたら
この世界から さよならしたら
どうか その時には あの子に会わせて下さい」と。
枕に顔を押し付けて
「会わせて下さい」と 繰り返す。
ごめんね 神様